
「だらしない」のではなく柔軟なだけ──P型(知覚型)が相手を沼らせる予測不能な魅力
ごめん、またやっちゃった。
待ち合わせ時間の15分後、息を切らして駅の改札に駆け込んだ私。彼氏はスマホから顔を上げ、いつものように呆れ顔でまた時計見てなかったでしょと深くため息をついた。
私は昔から、この計画通りに分刻みで動くというのが絶望的に、そして致命的に苦手だった。週末のデートの予定を決めるのも、その日の気分でいいじゃん、なんか縛られてるみたいで嫌だと思ってしまうし、旅行先では分厚いガイドブック通りに名所を分刻みで回るより、路地裏の変な看板を見つけてあそこ行ってみようよと行き当たりばったりで寄り道する方が、絶対にワクワクして楽しいと本能で感じてしまうのだ。
でも社会に出ると、そんな自由気ままな性格は全くプラスに評価されない。ただのだらしない人間や管理能力がないポンコツとして烈火のごとく怒られる格好の対象だ。
社会人なんだからもっと計画性を持ちなさい、期日からの逆算が全くできてないよと上司から冷たいお説教を浴びるたびに、自分が社会不適合者のように感じて、家で一人激しく落ち込んでいた。
SNSを見ていても、私と同じように計画性のなさで自己嫌悪に陥っている声は無数にある。X(旧Twitter)でP型 だらしないと検索すれば、J型のきっちりした彼氏に怒られてばっかりで辛いとか、マイペースすぎて社会で浮いてる気がする、なんでみんなあんなに計画通りに生きられるの?といった悲痛な叫びがたくさんヒットする。知恵袋にも、ルーズな性格を直す方法を真剣に尋ねる相談が後を絶たない。
そんなある日、彼との週末のデートでのことだった。私たちが何ヶ月も前から楽しみにしていたチケット制の野外フェスが、突然のゲリラ豪雨と強風の影響で、まさかの当日午前中に中止と発表されてしまったのだ。
彼は、最悪だ、せっかく何ヶ月も前からチケット取ってレンタカーも手配したのにと目に見えてパニックになり、完全にフリーズして絶望のオーラを全身から発していた。完璧に準備したJ型(判断型)の人間にとって、予定が根本から崩れることは自分のアイデンティティの崩壊に等しいほどのダメージだからだ。
でも私は、その絶望的な瞬間に何かのスイッチが入ったように、不謹慎にも妙にワクワクし始めたのだ。
じゃあさ、今日はもう諦めて家に戻って、デパ地下で最高級のピザとメロンと高いワイン買って、ずっと見たかった海外ドラマのホラーを昼間からイッキ見するジャンクフード泥沼引きこもりフェスティバルに予定変更しようよ。雨に濡れる前にネットスーパーより速く帰ろ。
私が雨の中、傘もささずに大はしゃぎして提案すると、彼は一瞬ぽかんとした後、毒気を完全に抜かれたようにふっと肩の力を抜いて大笑いした。
そっか。君と一緒にいると、予定通りにいかない最悪のアクシデントも全部最高のエンタメに塗り替わっちゃうんだな。マジで敵わないわ。よし、ピザ2枚買おう。
その日、ワインを飲みながらピザを頬張る彼がふと言った言葉は、私の長年の深いコンプレックスを根底からひっくり返すものだった。怒られる致命的な欠点だと思い込んでいた私の計画性のなさや行き当たりばったりなところは、実は天才的で無敵の適応力という、相手にとって抗えない魅力だったのだ。
計画性のなさの正体
16タイプの性格診断において、P(知覚・Perceiving)の指標を強く持つ人は、未来の予定を数週間先までガッチリ固められると、まるで酸素が薄くなったように息苦しさを覚える。
なぜならP型にとっての人生の最大の醍醐味は、今この瞬間に何が起こるかわからないスリルと、次にどんな波が来るかに直感で乗っかっていくサーフィンのような快感だからだ。スケジュールにキッチリ縛られるということは、その場で偶然生まれるかもしれないもっと面白い可能性や予期せぬ最高の出会いを事前に殺してしまうことと同義なのだ。
これを管理社会の常識的な人間から見ると、ルーズ、だらしない、無責任で何も考えていないと批判的に映ってしまうことが多い。
でも本当にそうだろうか。
世の中のすべてが、エクセルの整然とした計画表通りに進むわけがないのだ。急なゲリラ豪雨、突然の悲劇、思い通りにならない出来事、大炎上するプロジェクト。そんな理不尽で予測不能な世界において、あなたのその、どう転んでもその場で一番面白い最適解を瞬時に叩き出せるという生粋の才能は、ガチガチの現代社会で精神をすり減らして生きる人々にとって、何にも代えがたい最大の癒やしになるのだ。
予測不能な適応力
予定が狂ったとき、きっちりした真面目なJ型の人ほど、どうしよう、誰のせいだ、プランBを用意していなかったとパニックになり、強いイライラを周囲に撒き散らしてしまう。
しかしあなたは全く違う。プランAが急にダメになった?ならプランZでもよくない?むしろそっちの方が面白そうだし、と数秒でマインドを鮮やかに切り替え、その場にある手持ちのカードだけで真新しい極上の遊びを発明してしまう。
その肩の力の抜け具合、しなやかで柔軟な思考回路は、ストレスフルな毎日を目処り立てて戦っている真っ直ぐなパートナーにとって、どれほど強烈な救いになるだろうか。
この子と一緒にいれば、どんな想定外のハプニングや絶望的な状況が起きても、絶対に最後は二人で笑える。
それは、緻密に計算された完璧なデートプランや、1分1秒のミスのない洗練されたエスコートなどよりもはるかに強烈に、人間の本能レベルで相手の心を深く捉えて離さないのだ。変化に恐れず躍動するあなたという存在そのものが、相手にとって最高のエンターテイメントなのだから。
肩の力が抜けた癒し
もう、もっと計画的に生きなきゃとか、ちゃんとした大人にならないとと、世間の物差しに自分を合わせてコンプレックスを抱く必要はまったくない。
あなたがもし、手帳にビッシリと予定を書き込み、分単位で自分を厳しく律して行動するような人間に無理やり改造されてしまったら、あなたの最大の魅力である無邪気な自由さは完全に息絶えて死んでしまう。
あなたが休日の昼下がりに部屋でスウェットのままゴロゴロしながら、今日はもう何もしたくなーい、ウーバーでマック頼もとだらしなく笑っているその無防備な姿が、仕事でガチガチに緊張した相手の鋼の心を優しくとかすのだ。
あ、こんなに適当でいいんだ。人生、完璧じゃなくても死なないし、結構楽しく生きていけるんだ。
そうやって無意識のうちに、相手の脳内に強烈なリラックス効果をもたらし、オキシトシンを分泌させている。これは計画的に生きる人には絶対に真似できない、天性のセラピー能力だ。
予測不能な沼の構造
世の中の恋愛漫画やドラマで、成績優秀で真面目でお堅い主人公が、なぜか予測不能で自由気ままなヒロイン、あるいはヤンチャなヒーローに強烈に惹かれて、散々振り回されながらも結局は抜け出せなくなる描写を見たことがないだろうか。
あれはただのフィクションの都合ではなく、心理学や脳科学的に極めて正しい恋愛の構造だ。
人間は、すべてが予測可能な安全・安心なだけの環境ではすぐに退屈し、恋愛感情も単なる日常の作業化してしまう。時折不規則に訪れる、今日この子がどう斜め上から飛び出してくるか全くわからないという鮮烈なスパイスが、脳内で強烈なドーパミンを分泌させ、圧倒的な依存性を高めるのだ。
あなたが気分屋で計画性がないのは、裏を返せば、相手にとって絶対に一生飽きがこない、刺激的でワクワクし続ける存在だということだ。手に入るようで入らない、枠に収まりきらないその余白こそが、人を沼に引きずり込む引力の正体なのだ。
自由人こそ愛される
だからもう、ちゃんとした大人にならなきゃ、しっかりしなきゃと自分に合わない無理な矯正ギブスをはめて、自分の魂をすり減らすのは今日でやめにしよう。
あなたは計算や努力では決して後天的に出せない天性の柔軟性と、今この一瞬を100%全開で楽しむ圧倒的な天才なのだ。あなたのその自由で変則的な軽やかなステップに合わせて、呆れながらも結局は一緒に大笑いして踊ってくれる人間だけを、人生のパートナーに選べばいい。
私、ルーズで怒られることも多いし計画立てるのも絶望的に苦手だけど、世界で一番楽しい休日にする自信だけは誰にも負けないよ。
そう笑って堂々と言えるようになったとき、あなたのそのP型の自由で縛られない無敵のオーラは、相手を底無し沼に落とす最強の魅力として完成する。
自分の思考のクセやオペレーティングシステムがどれほど柔軟性に富み、人を癒やす力を持っているのか、ぜひエニアグラムや性格診断の客観的なデータとして一度眺めてみてほしい。
そこには、社会から怒られるだらしない人間ではなく、理不尽な世界を軽やかにサバイヴする今を生きる天才としてのあなたの姿が、はっきりと誇り高く刻まれているはずだから。
※本記事は自己分析の独自フレームワークであり、医療的アドバイスではありません。
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この記事を書いた人
塚田 崇博
Aqsh株式会社 代表取締役
人材業界23年、累計1万人超の面談経験を持つ。ソシオニクス・エニアグラム・ソーシャルスタイル等の性格類型学に精通し、採用・育成・定着を一気通貫で支援。
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