
定時退社でも満たされない──ゆるブラック企業への焦りと性格タイプ
「ブラックじゃないけど、このままここにいていいのか不安で」という相談が、面談の場で急増している。ゆるブラック企業という言葉が刺さるタイプには偏りがある。
「お疲れ様でした!今日も定時ですね」
午後6時、会社のビルを出ながら大きく深呼吸をする。 先輩は優しくて怒らないし、有給もスマホからワンタップで申請できる。残業代が出ないどころか、そもそも残業という概念がこの部署にはない。
友達に話せば超ホワイトじゃん、うらやましいと言われる最高の環境。 それなのに、終電で帰っていく同世代のSNS投稿を見るたび、胃の奥が冷たくなるような焦りがこみ上げてくるのはなぜだろうか。
Q&Aサイトを覗くと、同じような悩みを抱える20代の声であふれている。 「ホワイト企業に入れたのに自分が仕事できなすぎて辞めた。次に転職しても通用するか怖い」 「社会に出たという本番感がなくて、ただ学生の延長みたいで不安になる」
恵まれた環境にいるはずなのに、窒息しそうになる。 この現代特有のゆるブラック企業への不安の正体は、あなたの性格タイプによって全く違う顔を持っている。自分のキャリアに対する焦燥感の要因については、16タイプ性格診断で分かる才能と適職を紐解くことでより鮮明に見えてくるのだ。
うちの適性データを精査すると、成長実感を強く求めるタイプほど「ホワイトだけど物足りない」という不満を抱えやすく、転職予備軍に転落する確率が高いことが見えてくる。
ホワイトすぎる職場の毒
ひと昔前は、理不尽に怒鳴られる環境や過酷な残業がブラック企業の代名詞だった。 でもいま、別の意味で心を削るゆるブラックという言葉が生まれている。
怒られない代わりに、フィードバックもない。 残業がない代わりに、責任のある仕事はいつまで経っても任されない。 やりがい搾取で燃え尽きる人の悩みとは真逆で、エネルギーを注ぐ先がないからこそ、専門性が身につかず、いざ辞めようと思ったときに自分の市場価値がなくなっているという恐怖に直結する。
でもラクならいいじゃんと割り切れる人と、毎日不安でたまらない人がいる。 その違いは、あなたが仕事を通じて満たしたい欲求の違いだ。それはあなたの思考のクセが何を求めているかに強く依存している。
窒息する3つの性格
誰も怒らない優しい世界で、静かに息苦しさを感じているのは特にこんなタイプの人たちだ。
成果が出せないTe型
外向思考を持つ人にとって、仕事とは効率化して成果を出すゲームだ。 どうすればもっと売上が上がるか、どうすればコストを減らせるかを考えるのが何より好きだし、得意でもある。
それなのに、まあまあそんなに急がなくても今まで通りで大丈夫だからとなだめられ続けると、自分の中のエンジンが空ぶかしを繰り返して焼き切れてしまう。 ルールを守ることだけが評価される環境は、外向思考の人にとって実力を封じ込められた牢獄と同じなのだ。
5年後が見えないNi型
内向直感を主軸とする人は、常に未来のビジョンを必要としている。 いまの仕事が、3年後、5年後の自分にどう繋がっていくのか。そのストーリーが見えないと、どんなに好待遇でもモチベーションが湧かない。
ゆるブラック企業の特徴は現状維持だ。 昨日と同じ今日が続く安心感は、このタイプの人にとっては自分の人生がここで停止してしまうという強烈な恐怖に直結する。
焦るSi型社員の葛藤
逆に内向感覚を持つ人は、本来ルールが明確で安定した環境を好むはずだ。 それでも焦りを感じるのは、周りの声に敏感に反応してしまうから。
最近の若手はもっと修羅場をくぐらないとというニュースを聞いて、みんなが成長しているのに自分だけラクをしていていいのかと不安になる。 自分自身の不満というよりは、世間のスタンダードから外れてしまうことへの恐れに近い。
留まるか離れるかの壁
もし今あなたがこのままでいいのかと悩んでいるなら、すぐに転職サイトを開く前に、自分の焦りの種類を特定してみてほしい。
成長欲求のズレを知る
外向思考の人のように腕を試したいから焦っているのか。 それとも内向感覚の人のように、みんなと同じでなきゃいけないとプレッシャーを感じているのか。 欲求の根本が違えば、選ぶべき次の環境もまったく変わってくる。
ホワイトな環境を捨てるなんて甘えだと自分を責める必要はない。社会の手応えを感じたい、誰かの役に立って実力をつけたいと思うのは、ごく自然で健康的な欲求だ。 ただあなたの持つ思考のクセが求めている適正な負荷と合っていないだけだ。
別の場所で満たす勇気
仕事の人間関係や待遇には満足しているなら、まずは別の場所でエンジンを回すのも一つの正解だ。 本業は生活の基盤と割り切って、副業や本格的な趣味で自分のスキルを試したいという欲求を満たしてみる。あるいは社内で新しいプロジェクトを自ら立ち上げて負荷を調整するのもいい。
すべてを一つの会社で満たす必要なんてない。 大事なのは、自分が本当は何を求めて焦っているのかを知ることだ。16タイプ性格診断で分かる才能と適職を参考にしながら、まずは自分の心の声に耳を傾けてみよう。
※本記事は自己分析のフレームワークであり、医療的アドバイスではありません。
環境が悪くなくても、自分のエンジンに合っていなければ腐っていく。何百人ものキャリア迷子と向き合ってきて、その怖さは身に染みているのだ。
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この記事を書いた人
塚田 崇博
Aqsh株式会社 代表取締役
人材業界23年、累計1万人超の面談経験を持つ。ソシオニクス・エニアグラム・ソーシャルスタイル等の性格類型学に精通し、採用・育成・定着を一気通貫で支援。
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